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認知症の講義

認知症(にんちしょう、: Dementia: Demenz)は認知障害の一種であり、後天的なの器質的障害により、いったん正常に発達した知能不可逆的に低下した状態である[1][2][3]。認知症はなどヒト以外でも発症する。狭義では「知能が後天的に低下した状態」の事を指すが、医学的には「知能」の他に「記憶」「見当識」を含む認知障害や「人格変化」などを伴った症候群として定義される[1][3]。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は知的障害、先天的に認知の障害がある場合は認知障害という。単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下して性格の先鋭化、強い承認欲求、理性的思考力衰退、被害妄想を招く症状をさす[4][5]

日本ではかつては痴呆(ちほう)と呼ばれていた概念であるが、2004年厚生労働省の用語検討会によって「認知症」への言い換えを求める報告がまとめられ、まず行政分野および高齢者介護分野において「痴呆」の語が廃止され「認知症」に置き換えられた。各医学会においても2007年頃までにほぼ言い換えがなされている(詳細については#名称変更の項を参照)。

認知症は70歳以上人口において2番目に多数を占める障害疾患である[6]。全世界で3560万人が認知症を抱えて生活を送っており[5]、その経済的コストは全世界で毎年0.5-0.6兆米ドル以上とされ、これはスイスのGDPを上回る[7][5]。患者は毎年770万人ずつ増加しており[5]、世界の認知症患者は2030年には2012年時点の2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測している[8]

現在の医学において、認知症を治療する方法はまだ見つかっていない[9][10]。安全で効果的な治療法を模索する研究が行われているが、その歩みは難航している[10]

老化に伴う脳の器質的障害とともに、身体のいずれかが機能不全を起こすことが多かったため社会問題することはなかった。近年では身体の老化による障害は投薬などにより機能を維持することが可能になったが、脳の機能は投薬等では劣化を防ぐことができなかったために顕在化した。

3型糖尿病アルツハイマー型認知症糖尿病と深い関連があることから、別名「3型糖尿病」と呼ばれる[11]